もずくの左前肢のお話
皆さん、トラバサミというものをご存じですか?
私はつい数年前まで聞いたことはあっても、どういうものなのか知りませんでした。
「トラバサミとは、狩猟に使う罠の一つである。
日本では、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律の改正により、
平成19年4月16日から、狩猟でのトラバサミの使用は環境大臣が禁止する猟法とされた。」
ウィキペディア参照
もずくは、2020年4月20日に隣の空き家のお庭で産まれました。
きょうだいのあおさと一緒にお店に遊びに来るようになったのは、その年の夏頃でした。
あの頃すぐ保護していれば…そう後悔しない日はありません。
10月のある日、毎日のようにご飯を食べに来るようになっていた2匹ですが、その日は時間を過ぎてももずくが現れませんでした。
もずくは食いしん坊で、お腹が空けば一人でもご飯をもらいにくる子でした。
そんなもずくが来ないのは不思議でした。
次の日になっても姿を現さないもずくのことが気にかかり、その夜はお店の裏口のドアを開けたまま待ちました。
キャットタワーのハウスの中にいるもずくに気づいたのは深夜になってからでした。
いつの間に来たのか…来てくれたことに安堵しましたが、ご飯を催促することなくハウスの中でうずくまっているもずくは明らかに普段と様子が違っていました。
よく見ると左前肢がパンパンに腫れあがり、もずくはずっと隠しながら必死に舐めていました…。
いつもお世話になっている動物病院に連れて行くと、もずくを診た先生は一言、「トラバサミだね…。」と、教えてくれました。
私はその時初めてトラバサミというものの存在を近くに感じました。
トラバサミは無断での使用を禁止されているにも関わらず、普通にお店やネットで購入できるそうです。
誰が何のために仕掛けたのかわかりませんが、小さな子猫のもずくはその恐ろしい罠にかかり、必死の思いで逃げてきたのです。
そのまま入院、手術となり、もずくが帰ってきたのは、それから2週間後のことでした。
指を2本失いました。
小さなライオンとなって帰ってきたもずく。
病院の先生方のおかげで、すっかり人間大好きな甘えん坊になっていました。
10日後、カラーが外れました。
先生が可能な限り指を残してくれたおかげで、今では普通に跳んだり走ったりできます。
お店のまわりは山が多く、昔仕掛けた罠が回収されずに今も残っていることがあるそうです。
しかし、何の罪もない子たちが傷つくことはあってはならないことだと思います。
生き物に優しい世界になってほしいです。
痛くてつらい思いをしたもずくには、もう2度と同じような思いはさせません。
おっとり穏やかで優しいもずくは、みんなからも愛される存在です。
これからも、のんびり楽しい毎日を送ろうね。
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